大判例

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東京高等裁判所 昭和58年(ネ)2464号 判決

一 一般に、訴えの取り下げは訴訟行為であるから、取り下げについて意思表示の瑕疵が存在したとしても、これによって直ちに当該行為が無効・取消の原因になるものではなく、詐欺脅迫等明らかに刑事上罰すべき他人の行為によりなされるに至ったときに限って、民事訴訟法四二〇条一項五号の法意に照らし、当該訴えの取り下げが無効となり、口頭弁論期日指定の申立てをすることができるものと解すべきである(最高裁判所昭和四六年六月二五日第二小法廷判決・最高裁民事判例集二五巻四号六四〇頁以下参照)。そして、訴えの取り下げの無効の主張を無期限に許すことは法的安定性を害するおそれがあるから、訴えの取り下げの無効を理由とする口頭弁論期日指定の申立ての期間については、民事訴訟法四二四条に定める再審期間の制限が類推適用されるものと解するのが相当である。

二 これを本件についてみるに、一件記録によると、被控訴人が昭和六〇年一二月一〇日本件訴えの取り下げをし同日控訴人が取り下げに同意して直ちにその効果が発生したこと、被控訴人が右取り下げについて意思表示の瑕疵が存在するとして口頭弁論期日指定の申立てをしたのは平成三年四月六日であって、本件訴えの取り下げからすでに五年を経過していることが明らかであるから、右期日指定の申立ては期間経過後の不適法なものというべきである。

(川上 石井 井上)

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